先に結論を書きます。家庭のエアコン本体は、レジオネラの発生源として国の指針に名前が挙がっていません。名前が挙がっているのは、ビルの屋上にある冷却塔と、加湿装置・加湿器のほうです。
「エアコン レジオネラ」で調べてこのページに来られた方には、拍子抜けする答えかもしれません。ただ、こう書けるだけの根拠があります。
厚生労働省の「レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針」(平成15年厚生労働省告示第264号、平成30年一部改正)は、冒頭でこう書いています。
レジオネラ属菌は、入浴設備、空気調和設備の冷却塔、給湯設備、加湿器等の水を使用する設備に付着する生物膜に生息する微生物の細胞内で大量に繁殖し、これらの設備から発生したエアロゾルを吸入することによって感染する。
四つとも「水をためる設備」です。エアコン本体、つまり壁掛けのルームエアコンは入っていません。
冷房中のエアコンの中では、熱交換器に結露水が出ます。ただしその水はドレンパンで受けてドレンホースから外へ流れ出ます。たまり続けないのが正常な状態です。
冷却塔は逆です。水を循環させて冷やし、その一部を蒸発させる設備なので、水は常にあります。指針は冷却塔についてこう書いています。
冷却塔内は、日射、酸素の供給、大気への開放など微生物や藻類の繁殖に好適な環境
使用開始時および使用期間中は一か月に一回以上、冷却塔および冷却水の汚れの状況を点検
一年に一回以上、清掃および完全換水を実施
加湿装置も同じ理由で名前が挙がります。
エアコンだから無関係、と言い切れない場面もあります。
1. 加湿機能つきのエアコン・加湿器
指針は加湿器を「加湿装置(建物の空調に組み込まれたもの)」と「家庭用加湿器(卓上・床置き)」に分け、家庭用については次のように書いています。
家庭用加湿器のタンクの水は、毎日完全に換えるとともに、タンク内を清掃すること。
足すのではなく、替える。ここが守られていないタンクは、水をためる設備そのものになります。
2. ドレンパンが詰まっているエアコン
排水が流れず、受け皿に水がたまったままになっている場合は話が変わります。事務所衛生基準規則(昭和47年労働省令第43号)第九条の二は、空気調和設備を設けている事業者に対して次を義務づけています。
冷却塔および冷却水について、使用開始時および一月以内ごとに一回、汚れの状況を点検
加湿装置について、同じく一月以内ごとに一回点検
空気調和設備内に設けられた排水受けについて、使用開始時および一月以内ごとに一回、汚れ及び閉塞の状況を点検
冷却塔、冷却水の水管および加湿装置の清掃を、それぞれ一年以内ごとに一回
排水受け、つまりドレンパンが名指しされていて、しかも点検項目に「閉塞」が入っています。詰まりを前提に書かれた条文です。
3. ビルの空調
天井カセット型やパッケージ型が入っている建物では、その空調系統の先に冷却塔があります。エアコンの話のつもりでも、対象は冷却塔です。
家庭用エアコンで問題になるのは、ほとんどの場合カビです。送風ファンと熱交換器の風下側に生え、風に乗って部屋へ出てきます。匂いで気づく方が多い場所です。
レジオネラとカビは、生える場所も、効く対策も違います。レジオネラを気にしてエアコンの中に消毒剤を吹く、という対応はあまり意味がありません。分解して洗い、乾かすほうが効きます。
正直に書きます。家庭用エアコンをレジオネラのために洗う必要はありません。加湿器のタンクを毎日替える、ドレンホースの先が塞がっていないか見る。家庭ではそれで足ります。
雅堂にご相談いただきたいのは、次のような場合です。
冷却塔をお持ちの建物の管理(月1回の点検と、年1回の清掃・完全換水)
天井カセット型など、分解しないとドレンパンに届かない業務用エアコン
入浴施設・給湯設備を含めたレジオネラ対策全体
厚生労働省「レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針」(平成15年厚生労働省告示第264号、平成30年厚生労働省告示第297号により一部改正)
事務所衛生基準規則(昭和47年労働省令第43号)第九条の二
カビか、レジオネラか。現地を見てからお伝えします。現地調査・お見積りは無料です。
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執筆:株式会社雅堂 宮下知也(一般社団法人抗菌防カビ清掃技術研究所 副理事長兼講師)
更新日:2026年9月23日