検査結果が届いて、「不検出」ではなかった。まず何をすべきか、そして営業を止めるべきかどうか。判断を迫られる場面です。
レジオネラ属菌が検出された時点で、施設の管理者には保健所へ連絡する責任が生じます。止める・止めないの判断は、そのうえで菌数と施設の状況に応じて決まります。
連絡を先延ばしにして自主的に処理を進めると、あとから経緯を説明できなくなります。数字が小さくても、まず報告してください。
東京都が公表しているレジオネラ対策講習会の資料では、検出された菌数に応じた対応の目安が次のように示されています。
・10〜99 CFU/100mL:気泡発生装置を停止し、遊離残留塩素濃度を1.0mg/L程度に保持する
・100〜999 CFU/100mL:浴槽の使用を停止する
・1,000 CFU/100mL以上:さらに厳格な措置を講じる
ただしこれはあくまで目安です。自治体によって指導内容は異なり、施設の構造や利用状況によっても変わります。実際の対応は必ず所轄の保健所の指示に従ってください。
検査成績書に書かれているのは、採水した1地点の、採水した瞬間の状態です。施設全体が同じ状態だとは限りません。
浴槽水の数字が小さくても、ろ過器や循環配管の内部にはその何倍もの菌が潜んでいることがあります。逆に、消毒の直後に採水したために低く出ているだけ、ということもあります。
だから「数字が小さいから大丈夫」とも「大きいから終わりだ」とも言えません。数字は、設備のどこに問題があるのかを探す手がかりとして読むものです。
利用者に肺炎の発症が報告されている、あるいは保健所から調査の連絡が来ている場合は、菌数に関係なく保健所の指示が最優先です。
この場合、検査や洗浄の前に、浴槽水や配管の状態をそのまま保全するよう求められることがあります。先に洗ってしまうと、原因の特定ができなくなるためです。自己判断で清掃を始める前に、必ず確認してください。
保健所に連絡すると、状況を順に聞かれます。次のものが手元にあると、話が早く進みます。
・検査成績書(採水日、採水地点、菌数)
・直近の換水・清掃・消毒の記録
・遊離残留塩素濃度の測定記録
・ろ過器の逆洗や配管洗浄の実施履歴
・浴槽まわりの設備図面(循環経路がわかるもの)
特に消毒の記録は、「いつ・何を・どのくらいの濃度で・何時間」まで残っていると、次の手が決めやすくなります。
検出されてから社内で相談を始めると、判断に時間がかかります。平常時のうちに次の3点を決めておくと、当日の動きが変わります。
・どの数字が出たら、どの設備を止めるか
・誰が保健所に連絡し、誰が現場を止めるか
・再開の条件(再検査で不検出であること、洗浄実施の記録があること、など)
事故が起きてからでは決められません。検査結果が良かった時期にこそ、決めておく価値があります。
東京都保健医療局『レジオネラ対策講習会② レジオネラ属菌検出時等の対応について』
厚生労働省『循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアルについて』
検出後の対応でいちばん困るのは、「洗ったのにまた出る」という段階です。雅堂では配管内部の状態を確認したうえで、どこを洗えば止まるのかをご提案しています。保健所への対応と並行してご相談いただけます。
お電話受付 9:00-20:00 / 080-7744-9636
執筆:株式会社雅堂 宮下知也(一般社団法人抗菌防カビ清掃技術 副理事長兼講師)
更新日:2026年9月12日