新しいエアコンが付いて、古いほうは業者がトラックに積んで帰った。それで終わり、と思っていませんか。
持ち帰るところまでは正しい流れです。ただ、本来ならあなたの手元に、紙が一枚残っているはずです。
この記事では、家電リサイクル法の条文から、家庭用エアコンを手放すときに誰が何をするのか、料金がどう分かれているのか、そして手元に残る紙が何なのかを整理します。
業務用エアコンを外すときは別の法律がかかります。そちらは別記事に書きました。
正式名称は特定家庭用機器再商品化法。家電リサイクル法と呼ばれています。
同法第二条第四項は、特定家庭用機器を、一般消費者が通常生活の用に供する電気機械器具その他の機械器具であって、政令で定めるもの、としています。
その政令が施行令第一条です。第一号がユニット形エアコンディショナー(ウィンド形エアコンディショナー又は室内ユニットが壁掛け形若しくは床置き形であるセパレート形エアコンディショナーに限る。)。
第二号がテレビ、第三号が電気冷蔵庫及び電気冷凍庫、第四号が電気洗濯機及び衣類乾燥機です。いわゆる家電四品目です。
事務所や店舗の天井カセット型、床置きパッケージ、ビル用マルチはこちらではありません。業務用の機器はフロン排出抑制法の第一種特定製品として扱われます。銘板を見て、業務用と書かれていたら別の手順になります。
ここが意外と知られていません。
第九条は、小売業者は、次に掲げるときは、正当な理由がある場合を除き、特定家庭用機器廃棄物を排出する者から、当該排出者が特定家庭用機器廃棄物を排出する場所において当該特定家庭用機器廃棄物を引き取らなければならない、としています。
掲げられているのは二つです。
一、自らが過去に小売販売をした特定家庭用機器に係る特定家庭用機器廃棄物の引取りを求められたとき。
二、特定家庭用機器の小売販売に際し、同種の特定家庭用機器に係る特定家庭用機器廃棄物の引取りを求められたとき。
買ったお店。そして、買い替えで新しい一台を売るお店。この二つには引取義務があります。
引き取ったあとも決まっています。第十条は、小売業者は、特定家庭用機器廃棄物を引き取ったときは、製造業者等に当該特定家庭用機器廃棄物を引き渡さなければならない、としています。
第十七条は、製造業者等の側の義務です。指定引取場所において、その引取りを求めた者から当該特定家庭用機器廃棄物を引き取らなければならない。
正当な理由なく引き取らない、引き渡さない小売業者には、第十六条で勧告と命令が置かれ、第五十八条は命令に違反した者を五十万円以下の罰金としています。
請求できる料金が二本立てになっています。ここを知らないと、見積もりの読み方を間違えます。
一つめ。第十一条は、小売業者は、引渡しのために行う収集及び運搬に関し、料金を請求することができる、としています。これが収集運搬料金です。
二つめ。第十二条は、製造業者等が公表する再商品化等に必要な行為に関する料金を、排出者に対し請求することができる、としています。これがリサイクル料金です。
違いは、誰が決めるかです。収集運搬料金は小売業者が決めます。リサイクル料金はメーカーが決めて公表しています。
そして第十三条第一項。小売業者は、第十一条に規定する料金について、あらかじめ、公表しなければならない。
同条第四項はさらに踏み込んでいます。小売業者は、特定家庭用機器を使用する者又は特定家庭用機器を購入しようとする者から求められたときは、その求めに応じ、当該特定家庭用機器に係る料金について、これらの者に示さなければならない。
聞けば教えてもらえる、ではなく、示さなければならない、と書かれています。二つの料金をそれぞれ聞いてください。
これが冒頭の話です。
第四十三条第一項は、小売業者は、排出者から特定家庭用機器廃棄物を引き取るときは、特定家庭用機器廃棄物管理票に主務省令で定める事項を記載し、当該排出者に当該管理票の写しを交付しなければならない、としています。
この管理票が、いわゆる家電リサイクル券です。
書かれる事項は施行規則第三十三条にあります。当該管理票の交付年月日。当該排出者の氏名又は名称及び電話番号。当該小売業者の氏名又は名称及び当該特定家庭用機器廃棄物を引き取る本店又は支店の所在地。
小売業者の側は、回付を受けた管理票を保存します。期間は施行規則第三十八条で、三年です。
そして、確認する権利が二つ置かれています。
第四十三条第五項。小売業者は、管理票の写しを交付した排出者から、保存する管理票を閲覧したい旨の申出があったときは、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。
第四十六条。製造業者等及び指定法人は、排出者からその者が排出した特定家庭用機器廃棄物に係る管理票の受領についての確認を求められたときは、正当な理由がなければ、当該管理票の受領の有無について返答しなければならない。
つまり、自分の出した一台がちゃんと指定引取場所に着いたかどうか、控えの番号で確かめられる仕組みになっています。控えは捨てないでください。
再商品化の達成基準も数字で決まっています。
法第二十二条第一項の基準は施行令第三条にあり、エアコン(施行令第一条第一号)は百分の八十です。
比較のために並べると、テレビはブラウン管式が百分の五十五、液晶式・有機EL式・プラズマ式が百分の七十四。電気冷蔵庫及び電気冷凍庫が百分の七十。電気洗濯機及び衣類乾燥機が百分の八十二。
エアコンは高いほうです。金属の塊だからです。
施行令第二条は、再商品化等の実施と一体的に行うべき事項を定めています。
エアコンが廃棄物となったものについては、特定家庭用機器廃棄物から冷媒として使用されていた特定物質等を回収して、これを自ら冷媒その他製品の原材料として利用し、若しくは冷媒その他製品の原材料として利用する者に有償若しくは無償で譲渡し得る状態にし、又は破壊すること、とされています。
冷媒は抜く。ここは業務用と同じです。違うのは誰がやるかで、家庭用ではメーカー側の再商品化工程に組み込まれています。
だからこそ、家庭用エアコンを「無料回収」と称して引き取る事業者に安易に渡さないでください。冷媒が大気に放出されるだけでなく、管理票も発行されません。
第六条です。
事業者及び消費者は、特定家庭用機器をなるべく長期間使用することにより、特定家庭用機器廃棄物の排出を抑制するよう努めるとともに、特定家庭用機器廃棄物を排出する場合にあっては、当該特定家庭用機器廃棄物の再商品化等が確実に実施されるよう、収集若しくは運搬をする者又は再商品化等をする者に適切に引き渡し、その求めに応じ料金の支払に応じることにより、これらの者がこの法律の目的を達成するために行う措置に協力しなければならない。
順番に注目してください。最初に来ているのは、なるべく長期間使用すること、です。
ここからは当社の話です。清掃業者が言うと宣伝に聞こえるので、正直に書きます。
洗浄で延びる部分と、延びない部分があります。
延びる部分。熱交換器のフィンの目詰まりが取れると、同じ設定温度に達するまでの運転時間が短くなります。送風ファンにカビと埃が固着していると風量が落ちますが、これも戻ります。結果として、圧縮機の稼働時間が減ります。
延びない部分。制御基板の劣化、冷媒の漏れ、圧縮機そのものの摩耗。これは洗っても戻りません。
見分け方の目安です。冷えない原因が風量の低下なら、洗浄で改善する見込みがあります。風は十分出ているのに冷たくない、という場合は冷媒側の問題で、洗っても変わらないことが多い。
当社は現地で見て、後者だと判断したら洗浄をおすすめしません。買い替えの目安をお伝えします。
五つです。
一、引き取りを頼む相手を決める。買ったお店か、新しく買うお店か。どちらにも引取義務があります。
二、料金を二つ聞く。収集運搬料金とリサイクル料金。第十三条第四項により、示さなければならないとされています。
三、作業当日に管理票の控えを受け取る。捨てない。
四、気になるときは、控えの番号で受領を確認する。第四十六条に返答義務があります。
五、室外機も一緒に出す。室内機だけの引き取り、という形はありません。
家庭用エアコンは、家電リサイクル法第二条第四項と施行令第一条第一号により特定家庭用機器に当たります。業務用の機器はフロン排出抑制法の側です。
第九条により、過去に売ったお店と、買い替えで売るお店には引取義務があります。第十条により引き取った機器は製造業者等へ引き渡されます。命令違反は第五十八条で五十万円以下の罰金です。
料金は、第十一条の収集運搬料金と第十二条のリサイクル料金の二本立てです。第十三条第四項により、求められたら示さなければなりません。
第四十三条第一項により、引き取るときに管理票の写しが排出者に交付されます。小売業者の保存期間は施行規則第三十八条で三年。第四十三条第五項と第四十六条により、排出者は閲覧と受領確認を求められます。
再商品化等の基準は施行令第三条で、エアコンは百分の八十。冷媒の回収または破壊は施行令第二条で、再商品化等と一体的に行う事項とされています。
そして第六条は、なるべく長期間使用すること、から始まっています。
株式会社雅堂では、家庭用エアコンのクリーニングを行っています。洗って使い続けるほうがよいか、買い替えの時期かは、現地で見てお伝えします。洗っても変わらないと判断した場合は、そのようにお伝えします。
お電話受付 9:00-20:00 / 080-7744-9636
執筆:株式会社雅堂 宮下知也(一般社団法人抗菌防カビ清掃技術研究所 副理事長兼講師)
更新日:2026年9月17日