エアコンクリーニングの見積書は、たいてい一行です。「業務用エアコン洗浄 一式 ◯◯円」。
これだと比較のしようがありません。安いほうを選んだら工程が省かれていた、という話は珍しくありません。
この記事では、見積書のどこを見ればよいかを具体的に並べます。当社で出している金額も書きます。
比較の話の前に、法律の前提を一つ。
訪問販売や電話勧誘販売には、契約書面を受け取った日から八日間のクーリング・オフが認められています。ただし、これには適用除外があります。
特定商取引に関する法律第二十六条第一項第一号は、こう定めています。
前三節の規定は、次の販売又は役務の提供で訪問販売、通信販売又は電話勧誘販売に該当するものについては、適用しない。
一 売買契約又は役務提供契約で、(中略)申込みをした者が営業のために若しくは営業として締結するもの又は購入者若しくは役務の提供を受ける者が営業のために若しくは営業として締結するものに係る販売又は役務の提供
つまり、店舗や事務所として、事業のために契約した場合は、訪問販売のクーリング・オフは使えません。
家庭用エアコンを自宅で契約するのとは、前提が違います。あとから解除できる制度がない以上、契約前の確認がすべてになります。
なお、個別の契約について判断が必要な場合は、弁護士や、お近くの消費生活センターにご相談ください。当社は法律の専門家ではありませんので、ここでは条文を紹介するにとどめます。
国民生活センターは二〇二五年二月、ハウスクリーニングのトラブルについて注意喚起を公表しています。
公表されている相談事例には、クリーニング作業中にエアコンを破損され、修理を約束されたのに一か月後も連絡がつかなくなった、というものがあります。
また、換気扇クリーニングの勧誘で訪問した業者に、風呂場・洗面所・トイレも次々に提案され、相場がわからないまま約六十万円で契約した、という事例も挙げられています。
埼玉県の消費生活相談の事例にも、作業当日になって想定より高い金額を請求された、追加作業を提案されて大幅な上乗せが発生した、というものがあります。
国民生活センターのアドバイスは、次の三点です。複数社から見積もりを取ること。事業者の選定は慎重に行うこと。契約前に補償の内容や保険に加入しているかなどを確認すること。
この三点を、見積書の項目に落としていきます。
一つ、対象機器の特定。設置場所(何階の何室)、台数、機種の型番。どれが漏れていても、当日に「これは対象外です」が起きます。
二つ、洗浄範囲。部位名で書かれているかどうか。外装カバー、グリル、フィルター、ドレンパン、送風ファン、アルミフィン、ドレンポンプ。この七つが並んでいれば、まず問題ありません。
三つ、分解の程度。化粧パネルを外すだけなのか、ドレンパンを脱着するのか、送風ファンまで外すのか。ここが価格差の最大の要因です。
四つ、使用する洗浄剤。液性(中性・弱アルカリ性・アルカリ性)と、塩素系やアルコール系を使わないこと。製品評価技術基盤機構(NITE)は、消毒用アルコールなどの可燃性の溶液や、次亜塩素酸ナトリウムなど腐食性のある溶液で内部の掃除をしないよう呼びかけています。
五つ、作業時間の目安。一台あたり何分か。業務用の天井カセット型で三十分という見積りは、どこかの工程が省かれています。
六つ、追加料金が発生する条件。高所作業台が必要な場合、お掃除機能付きの場合、想定外の汚れがあった場合。事前に条件と金額が書かれているか。
七つ、賠償保険の加入状況と補償範囲。破損時にどうなるのか。国民生活センターが名指しで確認を求めている項目です。
八つ、作業後に渡される記録。作業前後の写真、報告書。記録が残らない作業は、次の判断材料になりません。
見積書に「一式」とあったら、その中身を口頭でよいので確認してください。
聞き方は簡単です。「送風ファンは外して洗いますか」。この一言で、分解の程度がだいたい分かります。
送風ファンは、天井カセット型で最も手間がかかる部位です。ここを外すかどうかで、作業時間は三十分以上変わります。逆に言えば、省きたくなる部位でもあります。
もう一つ聞くなら、「ドレンパンの底の汚泥はどうしますか」。上から水をかけて流すだけ、という答えなら、その泥はドレン配管に送り込まれます。
実務の立場から、率直に並べます。
送風ファンの脱着洗浄。前述のとおり、いちばん手間のかかる工程です。
ドレンパンの汚泥の先行除去。洗浄前に泥を取るか、いきなり水をかけるかで、翌週の詰まりが変わります。
電装部の養生。外から見えず、写真にも写らない工程です。ここを省くと、事故の可能性が出ます。
洗浄後の乾燥確認。電装部が濡れたまま通電すると、時間差で発火する事故につながります。
すすぎの水量。洗浄剤が残ると、吸湿してほこりを吸い、腐食や再汚染の原因になります。
どれも、終わった直後には違いが見えません。差が出るのは半年後です。
逆のケースもあります。想定より高い場合、理由があるかもしれません。
天井高が三メートルを超えていて、高所作業台が必要になる。お掃除機能付きで、部品点数が多い。既存の汚れがひどく、標準の工程では落ちない。設置スペースが狭く、部分洗浄扱いになる。
こうした条件が見積書に書かれていれば、金額には根拠があります。書かれていない高値なら、理由を聞いてください。
複数社から見積もりを取るとき、条件を揃えないと比較になりません。
一枚のメモを作って、各社に同じものを渡すのが確実です。書く内容は五つ。
設置場所と台数。
機種の型番(本体の下部に記載があります)。
天井高と、脚立が置けるスペースの有無。
お掃除機能の有無。
希望日(三日ほど候補があるとスムーズです)。
型番は、写真を撮って送るのがいちばん確実です。当社でも、公式LINEから型番の写真を送っていただく方法をご案内しています。
参考として、当社の業務用エアコンクリーニングの料金を書きます。
四方向エアコン 一台25,000円(税込)
業務用壁掛エアコン 一台25,000円(税込)
二方向・一方向エアコン 一台25,000円(税込)
床置きエアコン 一台25,000円(税込)
天吊りエアコン 一台25,000円(税込)
ビルトインタイプ 一台25,000円(税込)
台数によりお値引きがあります。お見積り・現地調査は無料です。
洗浄範囲は、外装カバー、グリル、フィルター、ドレンパン、ファン、アルミフィン及び内部、ドレンポンプ、備品全般。洗浄後の防カビスプレー施工は無料で行っています。
オフィスやテナントでは設置環境が異なりますので、最終的な金額は現地を見てからのお見積りになります。
金額以外にも、先に決めておくとトラブルが減る項目があります。
作業日と、エアコンを停止できる時間帯。
ブレーカーの位置と、誰が落として誰が上げるか。
鍵の受け渡しと、立ち会いの有無。
駐車場所。
養生の範囲(什器や商品をどこまで動かすか)。
水道と電源の使用場所。作業には電気と水道水を使います。
洗浄したカバーやフィルターをすすぐ場所。当社では浴室またはベランダをお借りしています。
どれも当日に決めると時間がかかります。事前に一度決めておけば、作業がそのぶん早く終わります。
作業が終わったら、次の三つを受け取っておいてください。
作業前後の写真。とくにドレンパンと送風ファン。次回の周期を決める材料になります。
実施日と作業内容を書いた報告書。建築物衛生法の対象施設であれば、これが帳簿書類の一部になります。
気づいた不具合の報告。冷媒の油にじみ、部品のひび、異音。洗浄業者は修理業者ではありませんが、見つけて伝えることはできます。
事業として契約する場合、訪問販売のクーリング・オフは適用されません(特定商取引法第二十六条第一項第一号)。契約前の確認がすべてです。
国民生活センターは、複数社からの見積もり、慎重な事業者選定、補償内容や保険加入の確認を挙げています。
見積書では、対象機器の特定、洗浄範囲、分解の程度、洗浄剤、作業時間、追加料金の条件、賠償保険、作業後の記録の八項目を見てください。
「一式」とあったら、「送風ファンは外して洗いますか」「ドレンパンの底の汚泥はどうしますか」の二つを聞けば、中身がだいたい分かります。
株式会社雅堂の業務用エアコンクリーニングは、一台25,000円(税込)から。台数によりお値引きがあります。お見積り・現地調査は無料です。
製品評価技術基盤機構(NITE) エアコンの内部洗浄による事故に注意
執筆:株式会社雅堂 宮下知也(一般社団法人抗菌防カビ清掃技術研究所 副理事長兼講師)
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