検査成績書に「不検出」と書かれていた。これで1年間は大丈夫、と考えてよいのでしょうか。
公衆浴場における衛生等管理要領では、浴槽水の水質基準として「レジオネラ属菌は、検出されないこと(10cfu/100mL 未満)」と定められています。
つまり「不検出」とは、採った水の中の菌が検出限界を下回っていた、という意味です。ゼロであることの証明ではありません。
もちろん、不検出が続いていることは管理ができている証拠です。ただし「だからもう何もしなくてよい」とは別の話になります。
採水するのは、多くの場合は浴槽水です。しかしレジオネラ属菌が増えるのは、ろ過器の内部、循環配管、貯湯槽、打たせ湯やジェットバスの配管といった、水が滞留する場所です。
浴槽水は毎日消毒され、塩素が効いています。一方で配管の内側にできた生物膜の中までは塩素が届きません。「浴槽水は不検出、配管の中は別」という状態は、実際によくあります。
同じ管理要領では、水質検査の頻度が次のように定められています。
・ろ過器を使用していない浴槽水、毎日完全に換水している浴槽水:1年に1回以上
・連日使用している浴槽水:1年に2回以上(塩素消毒でない場合は1年に4回以上)
年2回であれば、残りの363日は測っていないことになります。検査結果は、その日その時点のスナップショットです。
次のような状態なら、数字が良くても配管側を疑ったほうがよいと考えています。
・塩素濃度を高めに維持しないと、数字が安定しない
・ろ過器の逆洗のあとに、濁りやにおいが出る
・数年以上、配管の内部を洗浄していない
とくに1つ目は見落とされがちです。管理要領では、遊離残留塩素濃度は「通常 0.4mg/L 程度を保ち、かつ最大 1mg/L を超えないよう努める」とされています。これを超える濃度でないと不検出を維持できない状態は、薬剤で押さえ込んでいるだけの可能性があります。
検査で良い結果が出ている時期は、本来いちばん動きやすいタイミングです。営業を止める必要がなく、日程も自由に組めます。
・日常:遊離残留塩素の測定と記録を欠かさない
・年1回:ろ過器と配管の内部洗浄を計画に入れる
・検査:採水地点を毎回同じにして、経年で比べられるようにする
検出されてから慌てて洗うのと、不検出のうちに計画的に洗うのとでは、かかる費用も営業への影響もまったく違います。
厚生労働省『循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアルについて』
東京都保健医療局『レジオネラ対策講習会② レジオネラ属菌検出時等の対応について』
雅堂では、検出されていない施設からのご相談も承っています。配管内部の状態を確認したうえで、洗浄の要否と時期をご提案します。営業を止めずに進められる方法もありますので、一度ご相談ください。
お電話受付 9:00-20:00 / 080-7744-9636
執筆:株式会社雅堂 宮下知也(一般社団法人抗菌防カビ清掃技術 副理事長兼講師)
更新日:2026年9月12日