ろ過器と集毛器は、どこまで洗えば足りるのか
「逆洗浄は毎週やっています」という施設でも、再検査で出ることがあります。逆洗浄は汚れを「排出する」作業で、内壁に貼り付いたものを「落とす」作業とは別だからです。公的資料も、その二つを分けて書いています。
結論:週1回の逆洗浄だけでは足りない。同じ週1回で「生物膜の除去と消毒」まで求められている
公衆浴場における衛生等管理要領は、1週間に1回以上、ろ過器を十分に逆洗浄して汚れを排出するとともに、ろ過器及び循環配管について、適切な方法で生物膜を除去し、消毒することとしています。
「逆洗浄して汚れを排出する」と「生物膜を除去、消毒する」は、並べて書かれた別々の作業です。逆洗浄はろ材にたまった汚れを流す作業で、ろ過器や配管の内壁に貼り付いた生物膜はそのまま残ります。この二つを同じものと考えている施設が、いちばん多いところです。
集毛器は「毎日」
要領では、集毛器(ヘアキャッチャー)は毎日清掃し、消毒することとされています。ろ過器の週1回に対して、こちらは毎日です。
集毛器は、ろ過器に毛髪等が混入しないようろ過器の前に設けることとされています。つまり最初に汚れが集まる場所で、菌の栄養分がいちばん濃いところです。かごを外してゴミを捨てるだけでは「清掃」で止まっていて、「消毒」が抜けています。
ろ過器の構造にも条件がある
要領では、ろ過器は浴槽ごとに設置することが望ましく、1時間当たり浴槽の容量以上のろ過能力を有し、逆洗浄等の適切な方法でろ過器内のごみ、汚泥等を排出することができる構造であることとされています。
逆洗浄できない構造のろ過器がついている場合、週1回の作業そのものが成立しません。古い設備では実際に起こります。まず、いまの機械が逆洗浄できる構造かどうかを確認してください。
年1回は、配管の中を「見る」
要領では、年に1回程度は循環配管内の生物膜の状況を点検し、生物膜がある場合にはその除去を行うこととされています。
週1回の作業は「やっている前提」の維持管理で、年1回は「本当に落ちているか」の確認です。点検の方法を決めていない施設では、この年1回が記録の上だけのものになりがちです。
消毒剤の投入口は、ろ過器の直前
要領では、浴槽水の消毒に用いる塩素系薬剤の注入口又は投入口は、浴槽水がろ過器内に入る直前に設置されていることとされています。
ろ過器の後ろで入れると、ろ過器そのものには消毒されていない水が通り続けることになります。ろ材は汚れと温度がそろった場所なので、ここが抜けていると週1回の逆洗浄では追いつきません。
見落とされやすい「回収槽」
要領では、オーバーフロー水及び回収槽内の水を浴用に供する構造になっていないこととされています。やむを得ない場合には、回収槽は地下埋設を避け、内部の清掃が容易に行える位置又は構造とし、レジオネラ属菌が繁殖しないように回収槽内の水を消毒できる設備を設けることとされています。
地下に埋まっていて、蓋を開けたことがないという回収槽は実際にあります。ろ過器をどれだけ洗っても、そこから戻ってくるのであれば元に戻ります。
打たせ湯・気泡発生装置と、ろ過の関係
要領では、打たせ湯及びシャワーは循環している浴槽水を用いる構造でないこと、気泡発生装置等を設置する場合には連日使用している浴槽水を用いる構造でないこととされています。
ろ過器を通った水がそのまま打たせ湯に回っている構造は、この時点で条件から外れます。配管図が残っていない施設では、実際に系統を追って確かめてください。
頻度をまとめると
・集毛器:毎日、清掃と消毒
・ろ過器の逆洗浄:1週間に1回以上
・ろ過器と循環配管の生物膜の除去・消毒:1週間に1回以上
・循環配管内の生物膜の状況の点検:年に1回程度
・水質検査:毎日完全換水型は1年に1回以上、連日使用型は1年に2回以上(塩素消毒でない場合は1年に4回以上)
まず確認したいこと
・集毛器の「消毒」まで、日々の作業に入っているか
・逆洗浄とは別に、生物膜の除去と消毒をしているか
・いまのろ過器が、逆洗浄できる構造か
・塩素系薬剤の投入口が、ろ過器の直前にあるか
・回収槽の位置と、その中の水がどこへ行っているか
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出典
厚生労働省『循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアルについて』
雅堂では、ろ過器・集毛器・循環配管・回収槽まで含めて状態を確認したうえで、洗浄と点検の計画をご提案しています。「逆洗浄はしているが、それで足りているか分からない」という段階でも構いませんので、一度ご相談ください。
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執筆:株式会社雅堂 宮下知也(一般社団法人抗菌防カビ清掃技術研究所 副理事長兼講師)
更新日:2026年9月14日