保健所に見せることになるのは、検査成績書だけではない
「検査は毎年出しています」。そう言える施設でも、いざ保健所から経過の説明を求められると、出せる書類が成績書1枚だけ、ということがあります。要領が3年間の保管を求めているのは、検査結果だけではありません。
結論:検査結果も、毎日の塩素濃度の測定結果も、3年間保管する
公衆浴場における衛生等管理要領では、浴槽水中の遊離残留塩素濃度を頻繁に測定して通常0.4mg/L程度を保ち、かつ最大1mg/Lを超えないよう努めることとされ、当該測定結果は検査の日から3年間保管することとされています。水質検査の結果も同じく3年間です。
年に1回か2回の検査成績書は残していても、毎日つけている塩素濃度の記録が数か月で捨てられている、という施設は珍しくありません。何かあったときに経過を説明できるのは、むしろ後者のほうです。
浴槽水の基準値
要領の水質基準では、浴槽水について次のとおりとされています。
・濁度:5度以下
・過マンガン酸カリウム消費量:25mg/L以下
・有機物(全有機炭素):8mg/L以下
・大腸菌群:1個/mL以下
・レジオネラ属菌:検出されないこと(10cfu/100mL未満)
原湯・原水・上がり湯は、これより厳しい
同じ要領でも、原水・原湯・上がり用水・上がり用湯の基準は別に定められていて、浴槽水より厳しくなっています。
・色度:5度以下
・濁度:2度以下
・pH値:5.8〜8.6
・有機物(全有機炭素):3mg/L以下
・過マンガン酸カリウム消費量:10mg/L以下
・大腸菌:検出されないこと
・レジオネラ属菌:検出されないこと(10cfu/100mL未満)
浴槽水は人が入ったあとの水なので、濁度も有機物も緩く設定されています。逆に、最後にそのまま体にかける上がり湯には、水道水に近い水準が求められている。そう考えると分かりやすいと思います。
検査の頻度
・原水・原湯・上がり用水・上がり用湯:1年に1回以上
・浴槽水(毎日完全に換水している場合):1年に1回以上
・浴槽水(連日使用している場合):1年に2回以上
・浴槽水(連日使用型で、消毒が塩素消毒でない場合):1年に4回以上
見落とされやすいのは上がり湯です。浴槽水だけ年2回出していて、原湯と上がり湯は一度も検査していない、というケースがあります。
塩素は「頻繁に」測る
要領では、浴槽水中の遊離残留塩素濃度を頻繁に測定することとされていて、1日何回という指定はありません。裏を返すと、施設ごとに測る回数と時間帯を自分で決めておく必要があります。
決めていない施設では、朝1回だけの記録が並び、夕方の混雑時にどうだったかが誰にも分からない状態になります。入浴者が増えれば塩素は消費されるので、いちばん濃度が下がる時間帯の数字が残っていないと、記録としての意味が薄くなります。
記録は3年
要領では、遊離残留塩素濃度の測定結果も、水質検査の結果も、検査の日から3年間保管することとされています。
3年というのは、何かが起きたときに「いつから、どう変わったか」をさかのぼれる長さです。清掃・消毒・逆洗浄をいつ行ったかの記録も、同じ3年を目安にそろえておくと、保健所とのやり取りがそのまま進みます。
まず確認したいこと
・遊離残留塩素の測定を1日に何回、どの時間帯に行うか決めてあるか
・その測定記録が、3年分そろっているか
・原水・原湯・上がり用水・上がり用湯の検査を、1年に1回以上行っているか
・浴槽水の検査頻度が、いまの浴槽の型と消毒方法に合っているか
・清掃・消毒・逆洗浄の記録が、検査記録と同じ期間そろっているか
あわせて読みたい
出典
厚生労働省『循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアルについて』
雅堂では、検査の結果と日々の記録を突き合わせて、いまの管理で足りているかを確認したうえで、洗浄と点検の計画をご提案しています。「記録の付け方から見てほしい」という段階でも構いませんので、一度ご相談ください。
お電話受付 9:00-20:00 / 080-7744-9636
執筆:株式会社雅堂 宮下知也(一般社団法人抗菌防カビ清掃技術研究所 副理事長兼講師)
更新日:2026年9月14日